カンアオイ(寒葵)は日本全土に様々な種が存在する山野草です。変種や亜種として複数に分類されることもあり、特に花が咲いていないと識別は困難です。カンアオイの葉は通年存在します。それに対し同じカンアオイ属のサイシン(細辛)は、葉を含めた地上部を枯らして越冬します。

見分ける方法としては、次の項目に着眼する必要があります。①自生している場所、②開花時期、③萼筒の長さ、④萼裂片の長さ。⑤萼筒内壁の隆起線の数(縦・横)、⑥口環の発達度合い、⑦葉身の様子(光沢・葉脈の凹み)、⑧葉柄の色です。

同じ種でも個体差は大きく、正式な学名や種名は存在せず、一部の人にだけ認識されている通名の個体群も存在します。葉模様は種の識別には無関係ですが、個体ごとに無地や亀甲、斑入り、銀葉等あります。葉の形も同一種でも個体ごとに様々です。葉柄が緑色の個体は青軸と呼ばれ、花も緑色だと素心呼ばれています。葉柄が緑色ではなく一般的な紫緑色だと泥軸と呼ばれます。種によっては青軸が一般的であることもあります。

中部や近畿、中国、四国などといった広い地域に分布しているのが特徴です。それ故に地域差があり。変種として分けられていたり、分けられずにそのままのものがあります。12~3月が開花時期で、名前にヒメ(姫)がつくように花や草丈等が小型の傾向があります。萼筒内壁の内面にある縦の隆起線は約18~21本あり、横の隆起線は4~6本程です。

ヒメカンアオイの変種であり、葉が銭に例えられており、真ん丸であることが最大の特徴です。アキザキヒメカンアオイと異なり、葉が紅葉します。

ヒメカンアオイの変種であり、名前の通り秋(9~12月)に開花するのが特徴です。葉は基本的に紅葉しないことで知られています。

静岡県磐田市で発見されたことが名前の由来になっており、その周辺にしか自生していません。口環が未発達であるため、地域と口環で特定できます。萼筒内壁の内面にある縦の隆起線は約30本あり、横の隆起線は10本程です。

鈴鹿山脈が分布地であることと、萼裂片が萼筒より長いことが特徴です。萼筒内壁の内面にある縦の隆起線は約9~12本あり、横の隆起線は3~5本程です。

関東に広く分布しており、萼裂片が長くて谷折りになっています。萼筒内壁の内面にある縦の隆起線は8~11本、横の隆起線は4~5本と簡素です。。

萼筒内壁の内面にある縦の隆起線は約15~18本あり、横の隆起線は6~7本程です。花の形はカントウカンアオイとタマノカンアオイの中間的であるため、花を見ただけでも識別可能です。カントウカンアオイと分布域が近く、どっちが自生しているか迷っても、雌しべが鉤形になっているのが、カギガタアオイで、なっていないのがカントウカンアオイです。

カギガタアオイのように雌しべが鉤形なっていますが、葉身の光沢や厚みが全く異なり凸凹した革のようです。分布域は被らず、名前の通り多摩丘陵に自生しています。アマギカンアオイ等の花や葉が似ている種とは分布域が被りません。葉柄は紫緑色の泥軸です。

タマノカンアオイと間違えそうですが、天城山域に自生しているため、分布域は被りません。葉柄は必ず青軸です。シモダカンアオイと同一種となっており、シモダカンアオイは泥軸ですが、葉が展開された時は青軸です。雌しべは鉤形で、葉身の光沢があり凸凹した革のようです。

箱根の乙女峠で発見されたことから、箱根に自生しているのは、全てオトメアオイになります。秋に開花するズソウカンアオイとそっくりですが、オトメアオイは夏に開花するため、夏に咲いているかどうかでも識別が可能です。萼筒内壁の内面にある縦の隆起線は19~27本あります。

夏に咲くオトメアオイとそっくりですが、開花時期が秋です。また箱根には自生していません。萼筒内壁にある縦の隆起線は12~21本しかないため、オトメアオイよりも簡素な萼筒内壁です。